誰の人生も、うらやましい。

社会人4年目になりました。

好きな広告の話がしたい #1

 

 

 

死ぬのが恐いから

飼わないなんて、

言わないで欲しい。

 

 

2004年の日本ペットフードの広告で、児島令子さんが書いたコピー。

 

ちょっと今回は、この広告がいかに好きかの話をしたい。

 

 

f:id:yui_log:20200503173232j:plain

 

おうちを汚すから飼わないというなら、
犬はお行儀を身につけることでできる。
留守がちだから飼わないというなら、
犬はけなげにも、孤独と向き合おうと努力するかもしれない。
貧乏だから飼わないというなら、
犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。

 

だけど・・・死ぬのが恐いからって言われたら、
犬はもうお手上げだ。
すべての犬は、永遠じゃない。いつかはいなくなる。
でもそれまでは、すごく生きている。すごく生きているよ。
だぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、
飼い主たちは、大変であつくるしくって、
幸せな時間を共有しているはず。

 

飼いたいけど飼わないという人がいたら、
伝えて欲しい。犬たちは、
あなたを悲しませるためにやっては来ない。
あなたを微笑ませるためだけにやってくるのだと。
どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を
預かってみるのは、人に与えられた、
素朴であって高尚な楽しみでありますよ、と。

 

 

むかし飼ってたひと、

いま飼ってるひとは分かるかもしれないけど、

犬の誕生日ってちょっと切ない。

 

はじめて家に来たときの写真を見比べたり、

少し色が薄くなった毛並みなんかを見て、

「もう歳とらなくていいよ、」

なんて思ったりする。 

 

自分より何倍もの速さで歳をとる姿をみると、

飼い主として情けないんだけど、

一緒にいるのにすでに悲しくなっちゃうこともある。

 

 

そして最期、亡くなったときは、

それまでの思い出すべてが悲しくさせる原因になる。

 

おもちゃも、使ってた食器も、あるだけで悲しくなる。

しばらくは写真も見れなくなる。

すべてわたしを悲しくさせるから。

 

 

ずっとそう思ってた。

 

 

だから、もし私が将来家族をもって、

夫やこどもが犬を飼いたいなんて言っても、

飼わないようにしよう。と密かに決めていた。

死ぬのが悲しいし、こわいから。

 

 

ただ、そのあと、このコピーに出会った。

 

犬たちは、

あなたを悲しませるためにやっては来ない。

あなたを微笑ませるためだけにやってくるのだと。

 

コピー全体が素晴らしいんだけど、特にこのボディコピーを読んだとき、

おおげさに聞こえるかもしれないけど、本を一冊読んだような感覚になった。

 

 

途端に、「思い出すべてが悲しくさせる材料になる」なんて思っていた自分が、

すごく恥ずかしくなった。

 

 

そうか、犬は。

 

いや。たぶん、すべての生きものは、

悲しくさせるために生まれてきたんじゃなくて、

微笑ませるために生まれてきてた。

 

改めて、うちの子との14年間を思い返すと、

いなくなってしまったことよりも、

もっとたくさんの思い出があることに気づいた。

 

車にのせるとうれしくてずっとソワソワして、

散歩ではつかれて途中で抱っこをせがんできたりして、

いつも肉球からホカホカのポップコーンのにおいがする。

 

そうだよなあ、あんなにかわいいいきものと一緒に入れる日々は、

神さまが人に与えてくれたとてつもなく尊い贈りものだったんだな、と思った。

 

=================

 

広告 = ○%オフ!○○円お得!

というものだと思っていた当時のわたしにとって、

概念や価値観を変えるこのコピーは衝撃でしかなかった。

 

これまでにない、ことばのすごさというか、ことばの可能性を感じた。

 

 

まだまだ自分の書くコピーや文章は修行が足りないけど、 

自分の書いたことばもいつかこうやって、

人の考えを明るい方向に持っていくことができたらいいと思う。