名前が付けられない関係なんて、いくらでもある。
角田光代さんの「愛がなんだ」
この本を読んで、あれを思い出しました。
女の子が、曖昧になっている相手に対して「私たちって、どういう関係なの?」 って聞くやつ。思い出しました。
これ、使ったことはなくとも、たぶんみんなどこかしらで耳にしたことがある台詞だと思います。
ただ、この本の主人公はその逆を生きていた。
そこがすごく、面白かったんです。
名前が付けられない関係に対して、物怖じせずに、ずんずん進んでいく。
その生き方が、読んでいてとても羨ましくなりました。
少し前から薄々気付いていたけれど、
私たちは、名前を付けたがる生きものなんだと思います。
歳を重ねるほどに増えていく人間関係に対して、名前を付けたがる生きものなんだと思います。
なぜなら、名前を付けると安心できるから。
「友だちだから」「恋人だから」「親子だから」
「この人とはこういう関係」と一度決めてしまえば、今後、想定外が起こらなくなる。
楽になれるんですよね。
不安定さや考えることから、解放される。
だけど、良くも悪くも、名前を付けられない関係なんてこの世には溢れるほどあります。
だから、無理に枠をあてはめて、互いの関係から逃げてはいけない、とも思うんです。
この間、飲み屋で隣の席の女性が
「ユーミンの曲は、友達でも旦那でもない誰かに向けた曲が多い。だから苦手」って言ってました。
そのときは確か「Hello,my friend」が流れていたかな。
恋人でもない、友達でもない、振られてもいない、だけど近くにはいない。
そんなの私も慣れていないし、違和感があるし、嫌いです。
でも、名前を付けたら終わってしまったり、名前を付けないからこそ続く関係があることに、最近、気付き始めました。
だから、名前が付けられなくても私は、自分を取り巻く関係を好きでいたい。
恋人じゃなくても、抱きしめたい人がいてもいいと思う。
もう会えなくても、友達だってことにしてもいいと思う。
無理に枠にはめたりしなくても、そのままの関係を認めたい。
名前を付けられない関係を作ることに、慣れていきたいと思っています。
この本を読んで、また少し背中を押されました。
「愛がなんだ」
特に恋愛関係で悩んでいる人に、読んでほしいかな。きっと何か、ヒントになるものを得られるんじゃないかな、と思います。
私はぜんぜん恋愛悩んでないよって人、それはそれで幸せだから大丈夫です。そのままで引き続きがんばっていきましょう。
みんなで幸せになれますように。
おわり。